お久しぶりです、作家の広瀬です。
芝居から逸脱して何か違うものでも取り上げようかと思いましたが、予定通り今回はこいつの話をします。
XTC / Black Sea (1980)
自分が大好きで大好きでしょうがなくて夜も眠れないというバンドは五つか、六つくらいありますが(曖昧)、XTCは確実にその一つです。大好きです。夜も眠れません。嘘です、夜は寝ます。そこそこ寝ます。
とにかく、一曲聴いてもらいましょう。
VIDEO サージェント・ロックが女の子をメロメロにしてくれるさー、みたいなアホみたいな曲ですが(実際バンドとしては半分くらいふざけて書いていたらしい)、この曲を初めて聴いた高校生の時分、自分で英紙を翻訳しながら(当時はXTC、国内盤がまともに出ていなかったので)、サージェント・ロックというヒーローについて勝手に夢想していました。
そう、こないだのピストンズのサージェント・ロックの元ネタは、
DCコミックスの半端無く強い軍人 ではなく、XTCのこの曲なのです。まあ、アンディ・パートリッジ(XTCのボーカル、ギター)としてはDCのあの軍人をイメージしていたのかもしれませんが。
まあ、ピストンズの話はこんなもんで、このアルバムの話をしますと、とにかくリズムが最高に気持ちいいです。XTCファンの間では比較的後期の
Skylarking とか
Oranges & Lemons 辺りの人気が高い印象がありますが、僕は初期から中期に一番愛着があります。何故なら、テリー・チェンバースというドラマーがいるから。
VIDEO 独特なフレーズと強烈なビート感、そこに絡みつくコリン・ムールディングのベース、ザクザク刻み込んでくるアンディ、デイヴ・グレゴリーのギター、テリー・チェンバース在籍時のXTCにしかない魅力です。
そして、このアルバムの魅力のもう一つが「反復」。上の曲にも顕著ですが、同じフレーズを繰り返しながら曲を構成していく、これは全時代通してXTCの作曲方法の特徴です。例えばこの曲。
VIDEO ちょっと変化する部分はありますが、基本延々同じリズムの反復です。なのにアヴァンギャルドな方向に振れず、ポップな曲として完成させる彼らは偉大です。
アルバムとしては最後の作品、
Wasp Star (値段が妙に高騰している…。中古で買いましょう)には
Stupidly Happy というワンコードで作られた曲があり、これがこの作風の究極系でしょう。
ワスプ・スターでおや?と思ってくれた方はいるでしょうか。そう、サージェント・ロックの作中にはいくつかXTCネタが散りばめられています。気になった方はXTCの世界へ足を踏み入れていても良いかもしれません。例えばとあるアルバムの一曲目には怪人ピーター・パンプキン・ヘッドが待っていたり、総統ジェネラル(もちろん上の曲が元ネタです)の組織にもどこかで出会えるでしょう。
どうも二週間ぶりです。
さて、最近もスポーツ界では色んな出来事がありました。
こと大きなニュースとしてはサッカーでは「マンチェスターユナイテッドのサー・ファーガソンの引退」テニスでは「錦織圭がフェデラーを撃破」などですかね。
しかし一番、世間を賑わしたのは、やっぱり、この二人でしょう。
今更、説明も不要!国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄さんと松井秀喜さんですね。読売ジャイアンツを球界の盟主たらしめた、まさにスーパースター。
阪神愛に溢れる僕でも、この二人は大好きです。「巨人は嫌いだけど松井は好きやった!」みたいな野球ファンは本当に多いですね。
まぁ、特に20代の自分には選手よりも監督のイメージが強い長嶋さんよりも、やはり松井(以下敬称略)の方が身近で感慨深いのですよね。
ちなみに松井の日米通算成績は
打率.293(歴代36位)
2629安打(歴代5位)
494二塁打(歴代2位)
507本塁打(歴代7位)
1029長打(歴代3位)
4714塁打(歴代4位)
1557得点(歴代3位)
1649打点(歴代5位)
1391四球(歴代3位)
になります。これにプラスしてワールドシリーズMVPもあるわけですし、何より、あの真摯な姿勢と人柄があれば受賞は文句無しでしょう。
さてさて、これで国民栄誉賞を受賞した選手は、今回の二人に王さん衣笠さんを含めて4人となりました。やっぱり人気スポーツといいますか、プロ野球は国民栄誉賞を受賞しやすいスポーツのようですね。(4人/22組中)
ただし、辞退者が一番多いのもプロ野球(2人/3人中)
辞退者の一人目は福本豊さん。
通算1065盗塁は2位に500個もの圧倒的な大差をつけた偉大な記録で、今後更新されることはない不滅の記録でしょう。ちなみ福本さんが辞退するときに言った「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」は語り継がれる名言ですね。
辞退者の二人目はイチロー選手。
01年はアジア人史上初となるMLBでの首位打者・盗塁王・GG・SS・そしてア・リーグMVPの大記録を評価され、04年はMLBの年間安打記録を84年ぶりに塗り替えた262本の世界記録樹立を評価され、それぞれ打診を受けました。また日米通算の安打数は参考記録ながら1位の張本に800本もの大差をつけた歴代1位で、その他にも日米において数え切れないほどの記録を保持しています。アジア人として史上初、そして唯一のMLB殿堂入りも間違いないでしょう。
ちなみに次のプロ野球界からの受賞者は誰になるのか!?
僕の予想はこの人ですねー。
プレイヤーとしては2901安打・657本塁打はどちらも歴代2位の記録で、負担の大きいキャッチャーというポジションで監督兼任もしながら45歳まで現役を続けたということを考ると相当凄いです。また監督としても日本一に輝くこと3回のプロ野球史上屈指の名将ときてます。まず受賞は間違い無いでしょうね。
スター不在が嘆かれる昨今のプロ野球ですけども、例年以上にルーキーの活躍が目立つ今シーズン。このルーキー達の中から、将来、国民栄誉賞を受賞するような「スーパー」なスターが出てきてくれることを期待しながら、今日から始まるセパ交流戦でも観戦しましょう。
遠藤真太郎君客演の舞台を観に行ったらJetのAre You Gonna Be My Girlがかかっておりました。
VIDEO 大半の人は恐らく聴いたことあるはずです。そうです、ダイノジ大地のエアギターのアレですね。日本ではテレビでも使われまくっていたせいでやけに知名度の高いこの曲(芝居でも三回以上使われてんの見ました)、演奏しているJetがどこの国のバンドかご存知ですか?
アメリカ? イギリス? いいえ、違います。オーストラリアです。意外ですか? 驚きました? そうでもないですか? えっと、空気は読めますか?
話を続けます。オーストラリアのロックと言ってAC/DCを思い浮かべたあなたはそこそこロック好きだと思います。INXSとかMen at Workの名前を出したあなたは多分おっさんです。ビージーズとか言ってくるあなたはグッチ裕三です。あと、最近オーストラリアの音楽で流行ったのはこの曲でしょうか。
VIDEO 居酒屋とかでひところFUN.のWe Are Youngと同じくらいかかってたので聴いたことある方もいるかと思います。この曲、こんなアコースティックな音ながらアメリカで大ヒットしました。こんな感じで、オーストラリアの音楽は思い出したように英米で、当時の流行とは違う視点を持ち込むような形でヒットします。
上の曲の彼はゴティエ(Gotye)という名前で、男性のソロアーティストです。えっ、じゃあ、この綺麗な背中の美人は誰? 誰なの?とぐいぐい来てくれたあなたはきっと優しい人だと思います。本題に入りましょう。
Kimbra / Vows (2011)
彼女の名前はKimbra、ニュージーランドのシンガーソングライターです。じゃあ、クソ長い枕でしてたオーストラリアの話は何だったの?とご立腹かもしれませんが、ニュージーランドとオーストラリアはかなり密接な関係の国家らしく、歴史的な話は門外漢なのでよくわかりませんが、何故かオーストラリアとニュージーランドでは同じような音楽が流行ります。実際、このアルバムもニュージーランドとオーストラリアの両国でプラチナ・ディスクを獲得しています(オーストラリアのグラミー、ARIAにもノミネートされていたような。獲ったのは上述のGotyeですが)。
とりあえず一曲聴いてもらいましょうか。
VIDEO どうですか、この濃厚でドラマチックな楽曲。冗談抜きで掛け値なしの名曲だと思います。この一曲で英米ガールズポップの歴史が俯瞰出来ると言っても過言ではありません。R&B的であり、
Be My Babyの例のドラムパターン が出てきたり、二番からモータウン的なリズムになったりと、様々な要素がひとつの楽曲に無理なくまとめられています。
この曲、ルーザーズでもかなり象徴的に使わせていただきました。祐樹が走りだし。一気にドラマがまとめて動き出す大ヤマ場です。覚えていてくている方がいたら幸いです。ちなみにサビはこんな歌詞です。
Everyday's like talking in your sleep! Love is like a silhouette in dreams! Open up your heart! Open up your heart! Open up your heart and let me pull you out 毎日は眠っているあなたに話しかけているみたい 愛はまるで夢の中のシルエットみたい 心を開いて、心を開いてよ 心を開いて、あなたをそこから連れ出させて
しかし、このアルバム、アメリカではスマッシュヒット程度(ビルボード200で最高位14位)に終わりました。こんなに素晴らしいんだからもっと劇的に売れても良いんじゃないかと思うのですが、オーストラリア/ニュージーランドに対する英米のリアクションは何故かこんな感じです。オーストラリアには先のJetも尊敬するバンドとして名前をあげたYou Am Iという大御所ロックバンドがいるのですが、彼らも英米では無視され続けています。
オーストラリア/ニュージーランドの音楽、少なくとも日本人の感性には響くものがあるように思うので、また別の機会に色々取り上げてみたいと思います。
余談ですがこの曲、制作をやってくださっているTさんがやけに気に入ってくれていました。オーストラリア盤、USA盤と二枚出ていて、USA盤の方を誕生日にあげたらとても喜んでくれました。音響としてはこういうのは嬉しいものです。
次はルーザーズの残りをまとめてやるか、あるいはサージェント・ロックの話でもしようかと思います。サージェント・ロックの元ネタは、実はアメコミじゃないんですよ、という話でも。
この曲も素敵なので是非。Cameo Loverもそうでしたが、ダンスが素晴らしいね。
VIDEO
作家の広瀬のCDレビューに対抗して、板橋はスポーツコラムなんぞをしようと思います。なるだけ毎週、新着記事を載せたいですのでご愛読くださいませ。
ちなみに、ジャンルは野球、サッカーが中心になるとは思いますが様々なスポーツについて掲載したと思います。
というわけで記念すべき一発目は海外サッカーからいきましょう。
さてさて、今週の海外サッカーといえばチャンピオンズリーグの1STレグ【ブンデス】対【リーガ】
結果はともにホームで迎えたドイツ勢の2勝で終わりました。
先に行われたバイエルン対バルセロナの試合は4-0という衝撃のスコアで終わりました。
新戦力を即座に既存のシステムに組みことに成功しブンデスを圧倒的な力で制したバイエルンに対し【メッシ依存システム】の限界により斜陽の噂も少なくないバルサ、しかも頼みのメッシがコンディション不良を起こしてはバルサに勝ち目は薄かったように思えます。
この試合では、バイエルンのバルサ対策も素晴らしかったですね。シャビ、イニエスタではなく、一列後ろのブスケツにプレスのターゲットを決めることでバルサの中盤の自由を奪い、いつもならその閉塞感を打開できる、イニエスタにはハビエル・マルティネスがぴったりくっついて封じていたのも効果的でした。
結果として、4点差というスコアは必然だったようにも思えます。
しかし、次のドルトムントの試合には驚かされました。香川が移籍したこともあり今シーズンのドルトムントの試合はそんなに観てなかったんですが、ここにきて、ちょっと後悔しております。
試合は前半から強烈なアタッカー陣を誇るレアルに対してアウェーゴールのリスクを考えドルトムントはアグレッシブに守備は行かず、自陣での守備から活路を見出そうとしていました。結果としては、これがハマりましたね。
相手陣地からの素早いカウンターは出来ないものの、守備から主導権を握りゲッツェからレバンドフスキという流れでの先取点はまさに、ドルトムントのプラン通りの展開だったと思います。
前半終了間際に同点弾を許したものの、後半開始直後にレアルがエジルをトップ下に置くシステムが機能不全を起こしたわずかなギャップをついて2得点を挙げて半ば試合を決めてしまいました。結果としてドルトムントがさらに一点を追加してリザルトは4-1。
まさに、最近のブンデスリーガの勢いを象徴するような1stレグでした。しかしアウェーとはいえ、二試合ともスペイン勢にとっては屈辱の敗戦だったのではないでしょうか。もうすぐ行われる2ndレグではどんな結果が待っているのか楽しみですね。
誰も期待していない気がしますが、劇団のブログが開設されたということで、早速ですが作家広瀬がCDレビューなんぞ書いてみます。
そのうち芝居とは全く関係のないものもがんがん取り上げるとは思いますが、とりあえずは公演と関係のあるものの話をしましょうということで、こいつを取り上げます。
The Queers / Pleasant Scream (2002)
The Queersはアメリカの有名ポップパンクバンド。日本での知名度はそこまで高くないですが、知っている人は知っています。RamonesとBeach Boysに多大な影響を受けつつ、Green Dayら後進のポップパンク勢にも多大な影響を与えているバンドであります。日本だとマキシマム・ザ・ホルモンのマキシマムザ亮君が好きなバンドとして名前をあげていましたね。
何でこれが公演と関係あるかって? これを聴いていただきましょう。
VIDEO 熱心なピストンズファンの方はもうお気づきですね? いますか? いますか熱心なファン? いますね? いますね熱心なファン?
はいっ、そうですね、旗揚げ公演「ルーザーズ」の幕前曲なんですねー。ついてきてますか?
ルーザーズは童貞コメディをやろうということで始まった企画ですが、自分としては四人でプロットを決めた段階で童貞なら学園映画的にやろうと思っていました。
で、この世で最も学園映画的なバンドと言えば独断と偏見によりQueers! …ということで、どっかで絶対にQueersの曲はかけようと思っていました。「プロムに招待されなかったぜ」なんて何とも悲しい曲を歌うバンドはQueersくらいしか思い浮かびません。日本に置き換えると「成人式のあとのクラスの飲み会に声がかからなかった」的なことでしょうか。
このアルバムはそういうしみたれったテイストはやや薄いですが、ポップでキャッチーな曲で溢れております。ジョーイ・ラモーンの残したデモを完成させたI Wanna Be Happy、代表曲の一つに数えられるPsycho Over Youなど名曲の嵐です。そのものまさになタイトルのHomoという曲の歌詞も素晴らしいです。
VIDEO Life's not fair, are you aware? Be proud of who you are and don't be scared. (人生は公平じゃない、わかってるかい? 自分自身に誇りを持て、怖がるな) The Queers "Homo"
まあ、このあとに「お前ホモだろ、みんな知ってるぜ?」と続くわけですが。
彼らの「人生なんてクソみたいだけどそれでも生きていくんだ」的なコンセプトは自分の作風にもかなり影響を与えております。まあ、パンクが好きでポップなものが好きな方は是非是非聴いてみてください。
いつになるかわかりませんが、次ももう少しルーザーズの話をしましょうか。ニュージーランドの歌姫の話です。